物理の地図~最小単位;素粒子論~

2014.12.26.Fri.00:34

最後に素粒子物理学の世界へご案内しよう。
物性や宇宙論と同じように、根幹物理を武器として素粒子や原子核・ハドロンを扱う分野だ。


さて、現在の素粒子物理学は、あるモデルを基礎においている。

■標準模型(標準理論、Standard model)

それは標準模型と呼ばれ、重力以外の電磁気力、強い力、弱い力を統一的に記述する。
諸君がここへ足を踏み入れるには、標準模型を構成するいくつかの理論、モデルを順次学んでいくことになる。

そして、それらは単体でさえ非常におもしろい物理を広く展開しているのだ。
たとえば、強い力を扱うQuantum Chromodynamics(量子色力学、QCD)は、これ自体で広く研究されている。


この標準模型をもとに、現実世界はどのように構成されているのだろうか?

■原子核・ハドロン物理学

ここでは、上記の標準模型、またはそれを構成する各理論に基づき、主に場の量子論を道具として、原子核の構造や高エネルギー実験で起こる現象などを扱う。


そして、、、

多くの人が聞いたことくらいはあるのではないだろうか。
現在、最もミクロな物理を記述すると提唱されている理論。

■超弦理論

我々の世界を構成する最小単位は、実は点ではなくヒモなのだという理論である。
そして、ここでは重力をも含み四つの力を統一的に記述できる。

諸君がここへ踏み込むには、基礎物理の根幹をなす4本の柱をマスターし、場の量子論と相対論を携える必要がある。
そして、さらにあともう二つ(もしくは三つ)の武器が必要になるのだ。

それは、■共形場理論(Conformal Field Thory)と■超対称性(Supersymmetry,SUSY)理論だ。

CFTは、共形不変性と呼ばれる対称性を持った場の理論である。
簡単にいえばぐにゃぐにゃ曲げても理論が変わらないのだ。

SUSYは、ボソンとフェルミオン(という粒子の種類)の間に、ある対称性を課した理論だ。
超弦理論(Super String Theory)の“超(Super)”は、超対称性の“超”なのだ。

そして、各理論を理解するために多くの数学が必要になってくる(三つ目)。


さて、教科書を紹介したいところだが、未だ自分もこの領域には到達できていない。
したがって、一応紹介はしてみるものの当てにはしないでほしい。
(もし、諸君がここまで来れたならば自ら教科書を探す術を身につけているはずだ。)

たとえば、素粒子理論であれば、
素粒子物理学の基礎〈1〉 (長島)
素粒子物理学の基礎〈2〉 (長島)

素粒子標準模型入門 (Cottingham=Greenwood)
素粒子標準模型入門 (Cottingham=Greenwood)

原子核理論であれば、
素粒子・原子核物理入門 改訂新版 (Povh=Rith=Scholz)
などがあるようだ。

CFTについては、◆Conformal Field Theory  (Francesco=Mathieu=Senechal)
SUSYについては、◆超対称性と超重力 (Wess=Bagger)
が有名だ。

弦理論については、◆A First Course in String Theory (Zwiebach)が導入を与えてくれる。

String Theory, Vol1 (Polchinski)
String Theory, Vol. 2 (Polchinski)
がたいへん有名だが難解であると聞く。

また、
String Theory and M-Theory: A Modern Introduction (Becker=Becker=Schwarz)

Superstring Theory, Vol1 (Green=Schwarz=Witten)
Superstring Theory, Vol1 (Green=Schwarz=Witten)
なども有名だ。


以上で、だいたいの物理がどのような位置にあるのかを説明したつもりだ。
上記のように根幹から先端、基礎から応用まで物理の世界は広大である。

諸君が非常に興味深いこの世界への旅を楽しんでくれることを祈っている。
スポンサーサイト

物理の地図~統計の支配;熱・統計力学~

2014.12.21.Sun.02:08

今まで、粒子(物体)と電気(磁力)を扱ってきた。
次に熱を扱ってみよう。

■熱力学

ひとまず諸君は、熱について熱力学第○法則を通して熱に関する性質を見ていくことになる。


熱力学の教科書としては、
熱力学―現代的な視点から  (田崎)

熱力学の基礎 (清水)
が有名どころだ。


ところで、考えてみると熱を持つ物体はミクロなもの;たとえば分子からできている。
そのような立場から、熱力学という物理を再現できるだろうか?

■統計力学

ここでは、系を構成する個々の粒子から熱力学的な性質を導く。
ある意味、流体力学のようにミクロからマクロな性質を引き出すのだ。

粒子を古典的な粒子と扱うか量子的な粒子と扱うかで、古典/量子統計力学と分けられることもある。
量子統計は、量子論の効果が取り入れられ、これまた興味深い世界が広がっている。

とくに物性物理学で多く応用されている分野だ。


統計力学は、
統計力学〈1〉 (田崎)
統計力学〈2〉 (田崎)
で学び、
大学演習 熱学・統計力学 (久保)
で演習を積むのが王道コースである。

田崎本で等重率の原理から統計力学が組み立てられていくのは非常に美しい。


さらに統計力学の世界を歩き進めると、なんと場の量子論の影がちらつき始めるのだ。

統計力学と場の量子論は相性が良く、互いに技術を輸出入することによって、統計力学は進化を遂げる。

■有限温度の場の理論

ここでは、統計力学を場の理論を用いて記述する。
虚時間(虚数の時間)の登場など、基礎、応用ともに大変おもしろい分野だ。

余談だが、この分野に貢献し名も残る松原さんが先日亡くなられたらしいorz


有限温度の場の理論は、
Methods of Quantum Field Theory in Statistical Physics (Abrikosov)
Condensed Matter Field Theory (Altland=Simons)
などで学べるが、
Quantum Theory of Many-Particle Systems (Fetter=Walecka)
が比較的簡単だと聞く。


ちなみに、以上の内容は、ほぼ平衡統計力学(熱力学)だ。
非平衡理論に関してはいくつかの限定的な理論は存在するが、まだまだ研究を要する分野だ。


さて、次に少し応用的な分野を見ていこう。

物理の地図~揺らぐ異世界;量子論~

2014.12.21.Sun.01:48

続いて、小さな世界へ足を踏み入れてみよう。

力学で扱っていたのは、粒(質点)やその集まりだった。
電磁場は、波の性質を持っていた。

ひとまず、粒の大きさ(系のスケール)をどんどん小さくしていこう。
すると、粒が波のような性質を見せる。

実は、逆に波が粒のように見えもする。

粒子がそこに居ることさえ曖昧になってくる。

気付けば、諸君は量子論の世界に立っている。


■量子力学

ずばり、小さなものを記述する物理である。
ニュートン力学とは、まったく異なる世界が広がっている。

諸君は、ものごとを確率的に扱う必要に迫られるのだ。


教科書については山ほどあり、どれを紹介するべきか迷ってしまう。

ひとまず、
量子力学〈1〉 (小出)
量子力学〈2〉 (小出)
は、悪くない評判を多く聞く。

続いて、演習書の王道を紹介すると、
(◆基礎量子力学 (猪木=川合))
量子力学1 (猪木=川合)
量子力学(2) (猪木=川合)
である。
演習問題を解くには最適の本であり、演習を解きつつ理論を学ぶことも可能だ。

一度、学んでみて頭が混乱してきたら、
現代の量子力学(上) 第2版 (サクライ)
現代の量子力学〈下 (サクライ)
を読むとこんがらがっていた何かがすっとほどけるかもしれない。

ちなみにこの教科書は、理論の構造を解説している本だ。
よって、この本を読んでも問題が解けるようにはならないことには注意がいる。


さて、力学で質点があまりにも早く動くと相対論という新たな理論が必要となった。
量子力学では、どうだろうか?

■場の量子論

場の量子論という理論では、量子力学と特殊相対論が共存する。
これにより量子力学では対応できなかった現象が記述できるようになるのだ。

具体的には、電磁気学を量子的に扱ったQuantum Electrodynamics(量子電磁力学、QED)などを理解できるようになる。

また、場の量子論という“手法”は、現代の物理で一番広く使われている道具でもある


場の量子論の教科書を紹介する前に、
サクライ上級量子力学〈第1巻〉輻射と粒子
サクライ上級量子力学〈第2巻〉共変な摂動論
を揚げておこう。

これは、相対論的量子力学の教科書で、場の量子論の導入を与える。


場の量子論の教科書も様々なものがある。

現段階で一番多く使用されているのは、
An Introduction To Quantum Field Theory (Peskin=Schroeder)
ではなかろうか。

ただし、多少議論が曖昧なところもあり、文句を垂れながら読む本である。
しかし、実際に手を動かし計算をマスターしていくことに関してこの本の右に出るものはまだ無いと思われる。

この本と対照的な名著として、
The Quantum Theory of Fields (Weinberg)
がある。

こちらは計算はできるようにはならないが、論理がきっちりと積み上げられている。
その反面、可能なかぎり一般的に書いてあるなど、かなり難しい。
なお、3巻目はSUSY(超対称性)についてである。

そして、◆Quantum Field Theory (Srednicki)も紹介しておこう。
ぺスキン=シュレーダーに代わる入門書として読む人も多い。

ざっと有名どころを紹介したが、まだまだ沢山の本がある。
各自、調べるなどして自分自身に合った教科書を見つけてほしい。


次は、大学(学部)物理の最後の柱を紹介しよう。