物理の地図~波との出会い;電磁気学~

2014.12.21.Sun.01:03

さて、次に探検するのは電磁気学の世界だ。

■(古典)電磁気学

個人的に高校物理では、非常に煩雑に感じる分野だった。
しかし、全てはマクスウェル方程式と呼ばれる4つの式で充分なのである。


電磁気学を学ぶには、ひとまず◆理論電磁気学 (砂川)を読むと良いだろう。

一通り学んだあとに、
電磁気学の基礎〈1〉 (太田)
電磁気学の基礎〈2〉 (太田)
を読むとなかなかおもしろいかもしれない。

そして、、、
腕試しをしたくなったら◆Classical Electrodynamics (Jackson)という名著が待ち受けている。
大量の演習問題の評判はよく耳にする。


電磁気学は非常に広範囲で、その中にも様々な分野がある。
たとえば、現代の我々を支える技術の基礎の基礎を与える;エレクトロニクスだ。

■エレクトロニクス

すなわち、回路やそれを構成する素子の性質を学ぶ。
ゆくゆくは工学系や物理の実験系へ到達したい諸君はとても大切な分野である。


ところで、電磁気学を学んでみると力学とある食い違いが起こる。
力学で成り立っていたある性質(対称性);ガリレイ不変性が、電磁気学では破れているのだ。

これを解決するには、その性質を電磁気学のために拡張し、その拡張のために力学を拡張した世界へ足を進める必要がある。

■特殊相対性理論

それは、アインシュタインの相対性理論の前半;特殊相対性理論である。
ここでは、ローレンツ対称性をキーワードに力学と電磁気学は非常にきれいな形で構成される。

特殊相対論の世界に入ることによって、力学のところで述べたように光速を扱うことができるようになるのだ。


ところで、相対論の後半は何であろうか?

■一般相対性理論

それは、重力を扱う一般相対性理論である。
特殊相対論は高校生でも手は出せるが、一般相対論はちょっと難しい。

しかし、ここまで来れば特殊相対論を拡張した形で、諸君は重力さえ扱えるようになる。
ちなみに、ニュートン力学で扱う重力;万有引力は、重力が弱いときにのみ成り立つ近似なのだ。


一般相対論は、ほぼ(擬)リーマン幾何学であると言っても過言ではない。
リーマン幾何学自体については相対論の教科書の中で解説されていることが多いが、基礎的な幾何学の知識を持っていないと厳しいかもしれない。

相対論の教科書としては、以下のように様々なものがある。
ちなみに、特殊/一般それぞれの教科書もあり、相方共に載っているものもある。

スタンダードなものとして、
第2版 相対論入門 Ⅰ 特殊相対論 (Schutz)
第2版 相対論入門 Ⅱ 一般相対論 (Schutz)

一般相対性理論 (内山)

General Relativity (Wald)

場の古典論 ランダウ=リフシッツ理論物理学教程
などが揚げられる。

また、◆一般相対性理論 (Dirac)は、一般相対論のミニマムが載っている。

最後に、◆重力理論  Gravitationという名著も存在するが、持つだけで重力を感じられる代物だ。


続いて、ミクロな世界を覗いてみよう。

物理の地図~旅立ち;力学~

2014.12.21.Sun.01:03

さて、いよいよ物理の世界へ旅立とう。

■ニュートン力学

最初に諸君が踏み込むのは、力学の世界だ。
物理全般の基礎といっても過言ではないだろう。

その中でも、まず、ニュートン力学と呼ばれる微分積分学で整備された理論を学ぶことになる。
高校物理の力学に加え、回転や大きさを扱う物理に出会うはずだ。


教科書については、とくにコメントは無い。
好きなものを選べば大丈夫だろう。

間違って解析力学(後述)の教科書を開かなければ問題ない。


次に、扱う質点の数が多くなったり、大きさのある物体が変形を始めると、“流体(連続体)力学”の世界に移る。

■流体(連続体)力学

上記したような系になると、ふつうの力学では式の数が多くなりすぎてしまう。
そこで、重要な物理を抜き出して扱うのだ。

流体は、ナビエ・ストークス方程式という式に乗る。


自分は、◆流体力学 (巽)で勉強した。


今度は、質点が動く速さをどんどん速くしていこう。
そのスピードが光速に近づくと、ニュートン力学は破れて(成り立たなくなって)しまう。

その先にあるのは、、誰もが知ってるであろうアインシュタインの相対性理論である。
しかし、詳細は電磁気学を説明してからにしよう。

(■相対性理論)


さて、最後に上記二つと少し異なったほうへ力学の道を歩んでみようと思う。

■解析力学

解析力学と銘打ってはいるが、数学の解析(微分積分)とは関係ない。

解析力学は力学の再構成を与え、ゆくゆくは大方の物理をきれいにまとめ上げてしまう代物だ。
すなわち、“最少作用の原理”というひとつの考え方からニュートン力学を“導き”、他の分野でも大変有用となるコンパスを与えてくれる。


有名な教科書としては、◆力学 (増訂第3版) ランダウ=リフシッツ理論物理学教程がある。
しかし、このランダウ=リフシッツ理論物理学教程、行間が広い(難しい)ことで有名だ。

また、
古典力学〈上〉 (Goldstein)
古典力学 下 (Goldstein)
も有名で、演習問題も豊富である。

少し趣の異なる教科書として、
解析力学1 (山本)
解析力学2 (山本)
を紹介しておく。

こちらは、“解析力学の構造”が詳しく解説されている。
自分は、この本を読んで解析力学の深さに感銘を受けた。

しかし、それと引き換えに多少難しくなっている。
(初めに軽く解説されてはいるものの)多様体(幾何学)、リー群(代数/リー代数)などの数学を知っていると良い。

また、この本を読んだからといって演習問題が解けるようにはならないことも注意すべきである。


ちょうど良いので教科書の種類について言及しておく。
教科書には、だいたい三つのタイプが存在する。

まずは、具体的な計算ができるようになるタイプ。
歴史的経緯(ボトムアップ)で書かれていることが多く、読めば具体的に系を与えられたときに物理量が計算できるようになる。
直感的なイメージは掴みやすい半面、全体像が掴みにくいことが多い。

次に、理論の構造をすっきりとまとめているタイプ。
第一原理から理論を展開していく(トップダウン)形式で、なにが定義でどれが結果なのかなどが掴みやすい。
一般的に知識が整理される半面、このタイプのだいたいの本が難解である。

最後は、演習問題がまとめてあるタイプだ。
選ぶ際は、解答がどの程度しっかり書かれているかに気を配ると良い。
しっかりと解説がついているものから、「自明」の一言で終わるものまであり、有名な本であればネットに解答が落ちていることも多い。


さて、次は電磁気の世界に足を踏み入れよう。

物理の地図~基礎装備;数学~

2014.12.21.Sun.00:35

いきなりだが、物理の地図のようなものをつらつら書いてみようと思う。

最低でも少しは需要があるようだ。
自分自身、学部生のときにこのような地図が欲しかった経験もある。

対象としては、高校までの物理の知識を有する人向けだ。
これから物理を本格的に学んでみようと思っている人の道しるべになれば幸いだ。


まず、物理の世界を冒険するにあたって、基礎装備;必需品がある。

すなわち、基礎的な数学である。
数学は物理を記述する言葉であり、ひとまず最低限の数学を習得する必要がある。

□微分積分
□線形代数

この二つが無ければ、物理の世界を旅することは不可能である。
どちらも、本質を掴むだけでなく、実際に計算を行う技術を習得する必要もある。

さらに、

□ベクトル解析
□複素解析

を理解していると心強い。
それぞれ、多変数関数と複素関数を扱う。

この二つは、物理を始める前に完璧にマスターする必要は無い。
しかし、ゆくゆくは必須になっていく道具である。


以上を学べる教科書として、
解析入門 (1)
解析入門 (2)
を紹介しておく。

ベクトル解析、複素解析はそれぞれ専門の本はあるものの、ひとまず上記の解析入門程度のレベルが適当と思われる。


ここで少しばかり注意書きを記しておく。

一般的に物理学徒と数学徒では、数学の学び方は異なる

数学徒であれば、その理論がどのような論理で成り立っているかをきっちりと積み上げる必要がある。
数学徒にとってこの積み上げに隙間があることは命取りとなる。

しかし、悲しいかな多くの物理学徒にとっては、そこまで気を配る時間とモチベーションが無い。

もちろん我々が使う数学を詳しく知っていればそれに越したことは無い。
上記の基礎数学についてはきっちりと学んでほしい。

また、物理を数学的にきっちりと定式化する数理物理という分野も存在する。

しかし、多くの物理学徒にとって重要なのは計算を実際に行うことができ、物理量を計算できるかどうかだ。
その計算結果を実験で検証することによって我々は物理の理論が正しいかを判断する。

すなわち、物理学徒にとって、なぜ計算ができるのかよりは、どう計算するのかのほうが重要な場合が多い

今、自分は非常に危険なことを言っている
しかし、このことを知らないと泥沼にハマる可能性がある。

どこまで数学に手を出すか、出すべきかは、全くそれぞれである。
学ぶ分野によって大きく作用され、かつ、その判断はどうしても経験的なものになってしまう。

しかし、以上のことを心の隅に置くことによって、多少なりとも数学を学ぶ道しるべを得ることを願う次第である。


では、さっそく物理の世界をご案内しよう。